オールディーズ看板娘のブログ

えー、お盆というのは死者の魂がこっちの世界に帰ってくる、なんて言いましてですね。
そんなわけで、お盆には怖い体験をした、なんて話をよく聞くんでしょうかね、えぇ。

これはアタシが今日、実際に体験した話なんですけどね。

きょう、昼過ぎだったでしょうかね。
あんまり暑いってもんで、珍しくコーラが飲みたいなーなんて思いましてね。
父親の車を借りて、スーパーに買いに行ったんです。
近所のマルシェというスーパーですね。
えー、マルシェというのはー、外国の食材やお惣菜なんかも充実していて、いつも混んでる。
駐車場に入ってからわかったんですが、今日もやっぱり…満車なんです。

あーいやだなー混んでるなーなんて思いながら駐車場が空くのを待っていると、1台の車がスーッと出て行く。
そこは、出入り口にいちばん近い場所なんですね。
なーんせ暑いもんですから、なるべく歩きたくない。
あーよかったなーいい場所が空いたなーなんて思いましてね。
でもって、その場所に車を止めて、スーパーの中に入ったんですね。

えー、不思議なもので、涼しいスーパーの中に居ると、もうコーラいらなくなっちゃうんですね。
でもお腹空いたなー何かないかなーなんて思ってると、ズラーッと並んだお弁当コーナーで自然と足が止まりましてね。
でもって、そのなかでいちばん美味しそうなカツ丼を買って、外に出たんです。
外に出ると、暑い。
あー暑いなーやっぱりコーラ買えばよかったなーなんて思ったんですが、戻るのもなんなので仕方なく、車に乗ってバックで出ようとした瞬間、

ドン！！

どこからともなく、ものすごい音がする。
あれーなんだろなーいやだなーなんて思いながら外の様子を伺うと、駐車場にいるみんながジーッとこっちを見てる。
カッと目を見開いてですね、この世の者とは思えない形相なんです。
あーいやだなーいやだなーなんて思いながら、もういちどアクセルを踏むと、

ギィィィィィーーー…

いやーな音がして車が動かない。
でもって、駐車場にいる人たちは目をカッと見開いたままこちらをゆび指して何かを言ってるんです。
目を合わせちゃいけない、帰ってください帰ってください、ナンマンダブナンマンダブ…。
でもどーうやっても車がうごかないもんですから、一度車を降りたんですね。

そこでアタシ、すごい光景を目にしたんです。

アタシの車が(正しくはパパの車が)、ポールにめりこんでる。

バンパーが半分取れちゃってるんです。
あーいやだなー怒られるなーなんて思いましてね、でもやっちゃたもんは仕方ないってもんで、家に着くまでになんとかしようと思ったんですね。
路肩に車を停めて、車を叩いたりなんだりして、手で板金してみたんですね。
なんとかバンパーをはめ込んで、あーよかったなーバレずにすむかなーなんて思いながらやっとこさ家にたどりついたわけです。

すると、父親が背後からスーッと寄ってくる。
いやだなー怖いなーなんて思っていると、父親がアタシの耳元にピタリと口を近づけて、こう囁いたんですよ。

「そんなことしても、隠せないよ」

いやー、世の中には怖いこともあるもんですね、えぇ。
でもってお盆関係ないですね、えぇ。